音読チャレンジ

さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(67)“そっ”

「え、何ですって。信夫! 一体それはどこでですか」はげしい見幕であった。子供心に信夫は自分でいってならないことをいってしまったことに気がついた。そっと父の顔をうかがうと、貞行は膝を正してうつむいている。三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]151、...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(66)“さっ”

「そう、それからどんな人がいました?」「ええと、よくわからない。あんまりたくさんいるんだもの。あ、そうそう、へんな女の子に会ったけれど……」貞行の顔色がさっと変わったことに、信夫もトセも気づかない。三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]144、14...
た・だ・ちゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(65)“とんとん”

「まあ、そんなにたくさんの人出でしたか。それでは知った人も行っていたでしょうね」トセは急に肩がこったように、自分の肩をトントンと叩いてみせた。三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]138、139より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(64)“すーっ”

「ああ、すーっとした。おいしいね、おとうさま」よしず張りの茶屋にはいって、信夫はラ厶ネをはじめて飲んだ。三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]109、110より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益...
わ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(63)“わくわく”

団子坂の上までくると、もう信夫の胸はわくわくしていた。三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]100より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三浦綾子記念文化財団」が所有・管理しております。著...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(62)“くるり”

「さあ、行きなさい。おかあさまが待っているよ」貞行に肩をおされて、女の子はしぶしぶと歩きだしたが、二、三歩いってふり返った。そして信夫をにらみつけるように、みつめたかと思うと、くるりと向き直ってかけていった。三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]7...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(61)“ぱっ”

その時、横の小路から五、六歳の色白の女の子がかけてきた。(かわいい女の子だな)と、信夫が思ったとき、その子が貞行をみて、パッと顔を輝かせた。三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]57、58、59より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(60)“ぐっ”“しゅー”

(おばあさまはラ厶ネはおなかに悪いといっていたけれど……)しかし、一度でいいから、あの玉をぐっと指で押しこんで、シューと泡の吹きあがるラムネを飲んでみたいと、信夫はいくど思ったことだろう。三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]52、53より〈著作物...
た・だ・ちゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(59)“ちらり”

「何ですか。そんなにあわてて、士族の子が見ぐるしい」トセの声に信夫はちらりと父をみて、「おばあさま、行ってまいります」と、大声であいさつをした。三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]36、37、38、39より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(58)“ぽん”

「これは、これは」貞行は苦笑して、キセルの灰をぽんと落とした。「どうだ、信夫。おとうさまと菊人形を見に行こうか」貞行はそういって立ちあがった。三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]30、31、32、33より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世...
ま・みゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(57)“むっつり”

「何ですね、信夫、その口のききようは。ほかの学年の先生が退めていかれたって、信夫と何の関係がありますか」トセが、縫う手をとめて、たしなめた。(関係だか何だかわからないが、やめて行ったらいやなんだ)信夫はむっつりとトセをみた。三浦綾子 『塩狩...
な行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(56)“にっこり”

根本先生に、どこにも行かないで自分のお嫁さんになってほしいと頼んだ一年生の時のことを信夫は忘れていた。しかし、先生の退職はやはり淋しかった。廊下で会うと、にっこり笑って礼を返してくれる先生が、もういなくなってしまっては困るのだ。三浦綾子 『...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(55)“じっ”

縁側でキセルをくわえながら、貞行はしばらくじっと雲をながめていたが、ふと視線をかたわらの信夫にうつした。信夫は描いたような黒い眉を八の字によせて、何か考えている。三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]2より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世...
あ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(54)“ぴたり”“おろおろ”

そう言うや否や、貞行はピタリと両手をついて、おろおろしている六さんと虎雄に向かって深く頭を垂れた。そして、そのまま顔を上げることもしなかった。その父の姿は信夫の胸に深くきざまれて、一生忘れることができなかった。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]19...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(53)“きりり”

士族はえらいと当然のように思ってきた信夫である。それは雪は白い、火は熱いということと同じように、信夫には当然のことであった。(ほんとうに人間はみんな同じなのだろうか)信夫は唇をきりりとかみしめて枕に顔をふせていた。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]...
ま・みゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(52)“むすっ”

信夫はむすっと唇をかんだ。「信夫。士族の子と町人の子とどこがちがうというのだ? 言ってみなさい」(ほんとうだ。どこがちがうのだろう)言われてみると、どこがちがうのか信夫にはわからない。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]173、174、175、176...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(51)“ひりひり”

「信夫! 虎雄君の指は何本ある?」「五本です」殴られたほおがまだひりひりと痛んだ。「では、信夫の指は何本か? 六本あるとでもいうのか」三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]169、170、171、172より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著...
あ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(50)“おどおど”

「虎雄君。君の手を見せてほしい」貞行は虎雄に微笑を見せた。虎雄はおどおどと汚れた小さな手を出した。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]167、168より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(49)“きりり”

「信夫っ! もう一度今の言葉を言ってみなさい」凜とした貞行の声に信夫は一瞬ためらったが、そのきりりときかん気に結ばれた唇がはっきりと開いた。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]160、161より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三...
あ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(48)“さっ”“うろうろ”

「そうです。ぼく町人の子なんかに屋根から落とされたりするものですか」信夫の言葉に貞行の顔色がさっと変わった。六さんはうろうろとして貞行を見た。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]158、159より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、...
あ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(47)“いらいら”

「ちがう。ぼくがひとりで落ちたんだ」信夫がいらいらと叫んだ。貞行は微笑して、二、三度うなずいた。信夫に年下の友だちをかばう度量のあることが嬉しかった。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]155、156より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(46)“きちん”

「いったい、どうしたというのだね」貞行はきちんと正座したままで、おだやかに言った。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]149、150より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三浦綾子記念文化財...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(45)“しょんぼり”

貞行をみると、六さんがあわててたたみに額をこすりつけた。「どうも、虎雄がとんだことを致しまして……」虎雄もしょんぼりとうつむいていた。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]144、145、146より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(44)“くしゃくしゃ”

言いかけた六さんの言葉を信夫が鋭くさえぎった。「ちがう! ぼくがひとりで落ちたんだ!」信夫の言葉に六さんの顔がくしゃくしゃにくずれた。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]134、135、136より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(43)“ぽかん”

「お前がおれをつき落としたなんて、だれにも言うな!」信夫は命令するように、口早に言った。虎雄はポカンとして信夫をみた。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]121、122より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(42)“ぴりり”

「空の向こうに行かなきゃ、わかるわけがないや」信夫は利かん気に眉をピリリとあげた。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]89、90より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三浦綾子記念文化財団」...
な行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(41)“にやり”

「ふうん。三年生でも空の向こうに何があるのか、わからんの」虎雄の黒豆のような目がにやりと笑った。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]87、88より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三浦綾子...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(40)“きっぱり”

「知らん」信夫はきっぱりとした口調で答えた。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]85、86より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三浦綾子記念文化財団」が所有・管理しております。著作物の使用...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(39)“ばたばた”

(もう先生はどこにも行かないぞ)信夫は得意満面という顔つきで、元気よくバタバタと廊下をかけて外に遊びに出た。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]73、74より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(38)“そっ”

「ほんとうにどこにも行かないでね」念を押すと、先生は信夫の手をそっと握って微笑した。信夫はうれしかった。三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]71、72より〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人...