こんにちは!近藤弘子です。
今回は朗読劇団くるみの樹のメンバーとしての活動報告です。綾子の自伝小説『道ありき』の中で、「春光台!」と言えばピンとくる方も多いはず……そう、前川正が自分の足に石を打ち付けた場所です。
綾子さんが変わり始める、キッカケとなったところです。
旭川の春光台に住んでいる方々は、小説の中に自分たちの住んでいる場所が出ていることに感動し、実際に前川さんと綾子さんがどう歩いて行ったのかを調査していました。
近くに牧場があり、牛が牧童に守られて、ゆっくりと草を食みながら、幾頭も歩いて行った。小学校五年生ぐらいの牧童は、草笛を吹きながら、わたしたち二人には目もくれず過ぎて行った。
三浦綾子『道ありき』二一
その牧童の方を探し、どこを歩いていたかを聞き出されたそうです。
彼はお菓子屋で、ギューヒ二個と桃山二個を買った。甘いものの好きなわたしのために、それをお祝に買ってくれたのかと思いながら丘に行った。
三浦綾子『道ありき』二一
当時の地図でお菓子屋を見つけたものの、結核を患っている二人にこの道は急すぎるのでは……?やっと、ここであろう道にたどり着いたといいます。
調査された方々の活動はさらに広がって、文学館から三浦綾子と春光台のことを話してもらって、春光台に住んでいる小学5、6年生と中学生に「その道に名前を付けてもらおう!」となったのです。そこで、朗読劇団くるみの樹で朗読劇「『道ありき』萩の丘にて」を上演しました。
10月2日は小学校、20日は中学校でした。
私は中学校のみでしたが、心の中は「学生さんの親より年上の私達に、うまく伝えられるのかな?」と心配でした。
学生さんも真剣です。朗読劇の後、教室に戻り名前を考えるのですから。
終わって、先生から「感激しました」「涙ぐんでいる生徒がいました」と聞いて、私達もコロナの中、何度か集まり練習して良かったと一安心。
後日、事務局長から、「生徒さん達のたくさんの感想が嬉しかった~!」と、喜びの声もありました。
坂の名前は、「再会の坂~きっとまた~」という、すばらしい名前が選出されたそうです。あさひかわ新聞の記事によると、「朗読劇がすばらしく、すぐ『再会』の言葉が頭に浮かびました」とあり、嬉しく思いました。
今の若い世代は三浦綾子という作家を知らない人が多い中、春光台の生徒さん達には知ってもらえた……!
そのことが、案内人である私にはとても嬉しいです。
いつか文学館に来てくださって、ご案内したいなあ……!もっともっと、綾子さんの本を読んで、心の糧にしてほしいです。
by 三浦文学案内人 近藤弘子