【案内人ブログ】No.15(2018年6月)

旭川市神楽の外国樹種見本林(国有林)の中に立つ三浦綾子記念文学館は、6月13日で20周年を迎えます。

20周年行事の一環として、今年新たに朗読劇団「くるみの樹」が発足し、旗揚げ公演が5月19日に文学館で上演されました。

同劇団はボランティアで構成され、館内をご案内しながら三浦文学について紹介する「三浦文学案内人」と三浦文学を朗読してその魅力を伝える「綾の会」それぞれの有志20名強です。

昨年まで「ミニシアター」という朗読と作品解説を織り交ぜる形で三浦文学を紹介してきましたが、もっと三浦文学の魅力をたくさんの方に伝えたいということで、田中綾館長を団長として、結成されました。

上演した朗読劇は、綾子さんの小説『泥流地帯』『続泥流地帯』が題材で、「十勝岳を仰ぐ町・復興への軌跡」というタイトルです。

1926(大正15年)5月24日の十勝岳噴火から92年の歳月が経ちました。この噴火では山津波(火山泥流)が発生し、144名の尊い命が奪われました。この噴火による泥流災害とそれに屈しなかった健気な人々の力強さと復興を描いています。

「綾の会」中辻さんの15場面にわたっての細やかな演出、出演者の役に対する思い入れと迫力ある朗読、ナレーションやナビゲーターの重要性……。スクリーンに映し出される十勝岳からリアルにいろいろな場面が想像でき、今目の前に泥流が流れてくるような緊迫感がありました。

長い物語を90分程度にまとめて、ストーリーがすべてつながり、臨場感いっぱいでした。朗読の持つ力、それを表現してくれる演者の皆様のすばらしさに、一同感動の渦でした。それぞれ感じ方は違うでしょうが、目頭を押さえる方もたくさんいらっしゃいました。

昨今、国内外でいろいろな災害が発生していてとても不安になります。我々は自然災害にはどうすることもできないのですね!でも上富良野町のように、人々の決意と愛と情熱で復興へ進むことができるのではないでしょうか。挫折を経験し長い闘病生活をして三浦綾子さんならではの人生観が込められている作品ではないかと思います。苦難は苦難だけに終わることがなく、忍耐を産み、人格を磨き上げ希望を生む。希望は失望に終わることがないというメッセージ。苦難の答えは、92年を経て上富良野の人々の中に息づいています。

第二弾は7月21日(土)を予定しています。ぜひ文学館へお越しください。一同お待ちしています♪

by 三浦文学案内人 佐々木信子

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