2018年9月29日 分館オープン
塩狩峠記念館(『氷点』が生まれた三浦家旧宅)のような、雪国らしい屋根の外観
分館に入ると、多目的室の大きな窓から息を呑むような景色が目に飛び込んでくる
ストローブ松の林、
木漏れ日、
巣箱の周りを飛び交う小鳥たち
時折、愛くるしいエゾリスたちが鬼ごっこをし、私達を迎えてくれる
風は全くない。東の空に入道雲が、高く陽に輝やいて、つくりつけたように動かない。
『氷点』の書き出しを思い起こさせる
奥に進むと、『泥流地帯』『海嶺』『母』『銃口』などを生み出した書斎が見えてくる
窓際にはタンスや本棚が並び、中央には一畳ほどの机が置かれている
お片付けの苦手な綾子さんの一面が伺える
この机に向かい合って、光世さんと綾子さんの口述筆記が行われた
擦り切れた畳の跡が在りし日の綾子さんを偲ばせる
後ろを振り返ると展示ケース
応募原稿、一千万円懸賞小説当選通知、『氷点』『続氷点』の創作ノートや原稿
当日、270人あまりのファンが道内外から駆け付けてくださった
「ここで、多くの作品が生まれたんですね」と言って涙ぐみ、何時までも佇んでいる人
綾子さんは、何処でどんな思いでこの日を迎えたのだろう
いつも感謝の言葉を口にしていた、お二人の笑顔がよみがえってくる
by 三浦文学案内人 富樫育代