みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
三浦綾子読書会 ゆっくり読む『塩狩峠』が3月12日(火)に開催されました。
タイトルのとおり三浦綾子の代表作『塩狩峠』(新潮文庫)を毎回少しずつ読み進める読書会です。
今月は「かくれんぼ」の章を輪読して、感想や意見を交わしました。
講師の森下辰衛(三浦綾子記念文学館特別研究員)から報告が届きましたので、ご紹介いたします。
3月12日午後、文学館本館2階図書コーナーで、ゆっくり読む『塩狩峠』読書会が始まりました。雪融けが進み足元の悪い午後でしたが、先月に引き続き遠く目黒から来てくださった女性、市内の方で初めて文学館に来てみたら「読書会」のお知らせがあったのでと参加くださった初めての方もおられて、11人で「二学期」の章を読みました。
北海道へ引っ越して行った吉川を誹謗から守ろうとして誤解され「嘘つき」呼ばわりされた悔しさから、人に心を分かってもらえるように伝えるにはどうしたら良いかと問う信夫に、父貞行は努力と勇気と誠だと答えました。しかし誠をこめても通じないこともあることを貞行は妻菊と母トセのことを通して思うのですが、信夫はそのためにも本を読もうと決心してゆきます。
そこに大阪の従兄隆士が現れ、読書や外国語の世界を教えてくれると共に、こだわりなく、自由に、でも人を傷つけることなく語るという生き方を見せてくれて、信夫の心の窓が開かれてゆくのでした。それを少年期から少し成長した次の段階という意味を込めて「二学期」と題したのだろうという意見もありました。また、クラスの子どもたちの描写や、幾つかの葛藤なども経ながら伸びやかに真っ直ぐに人間として成長してゆく信夫を見事に描いていて、さすが新潮文庫の百冊に選ばれ続ける作品だという感想もありました。
人をかばおうとして難を受ける信夫には物語最後の峠での行動に繋がるものがあり、人に語るに「誠」を最も大事なものとする貞行の言葉は『銃口』の金俊明が義勇軍退院に語る言葉に繋がるとの指摘もありました。
次回は4月9日、「あこがれ」の章を読みます。(文責 森下)
次回は4月9日(火)13時30分~15時30分に開催予定です。
『塩狩峠』「あこがれ」の章を読み進めてまいります。
詳細は後日改めてお知らせをいたします。
今後の予定表や先月までの報告はこちらをご覧ください。
なお、きたる4月4日(木)は三浦綾子の夫・光世の生誕100年となる日です。4月2日(火)より、2024年度企画展「三浦綾子文学を照らした三つの光」を本館2階企画展示室で開催いたします。
あわせてご案内をいたします。
最新の情報は三浦綾子記念文学館公式サイトでご確認になるか、直接電話・メール・FAXにてお問い合わせをいただければ幸いです。