みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
三浦綾子読書会 ゆっくり読む『塩狩峠』が2月20日(火)に開催されました。
タイトルのとおり三浦綾子の代表作『塩狩峠』(新潮文庫)を毎回少しずつ読み進める読書会です。
今月は「かくれんぼ」の章を輪読して、感想や意見を交わしました。
講師の森下辰衛(三浦綾子記念文学館特別研究員)から報告が届きましたので、ご紹介いたします。
2月20日午後、文学館本館2階図書コーナーで、ゆっくり読む『塩狩峠』読書会が開催されました。寒さが戻った日になりましたが、東京目黒からの方、上富良野からの方もおられて、10人で「かくれんぼ」の章を読み、語り合いました。
親友になった吉川修と信夫が互いの家に二回ずつ訪れる構成の章で、父の酒乱の問題に心を痛めお坊さんになりたいと言う吉川と、キリスト教の母への違和感から淋しさを感じて反発し、自分もお坊さんになると言う信夫の秘められた母への甘え、祖母トセの死から身近な問いとなった死のことや地獄や極楽のことを二人で考える信夫と吉川、そして吉川の妹ふじ子との出会いが語られていました。章は「大きくなったら何になる?」という親友同士の問いから始まって、少年たちが、人間が必ず直面する普遍的な問題に自分たちで探究を始めながら、信夫においては、ふじ子への淡い恋の始まりが彼女の悪い方の足を見ていると胸に感じてしまう抱き締めたい思い、守ってあげたい気持ちへと結びつくときに、傷ついた弱い命を放っておけない者になる道、駆け寄って身を投げ出しても守ろうとしてしまうような性質が、既に信夫の中に「大きくなったらなる」ものの予兆として始まっているのを読みました。
次回は3月12日、「二学期」の章を読みます。
(文責 森下)
次回は3月20日(火)13時30分~15時30分に開催予定です。
『塩狩峠』「二学期」の章を読み進めてまいります。
詳細は後日改めてお知らせをいたします。
今後の予定表や先月までの報告はこちらをご覧ください。
最新の情報は三浦綾子記念文学館公式サイトでご確認になるか、直接電話・メール・FAXにてお問い合わせをいただければ幸いです。