【案内人ブログ】№71(2023年7月)  百寿大学講座「綾子と海」~講演報告        記:山口眞由美                                      

案内人ブログ

こんにちは、はじめまして。三浦文学案内人の山口です。去る6月8日、旭川市中央公民館の 「百寿大学」講座で、三浦綾子文学の講演が行われましたので、今回はその報告をいたします。

この講演、あろうことか講師のうちの一人は、この私なんです。ほとんど新人案内人で経験の浅い私。
本来は三浦綾子記念文学館事務局長が務めるはずが、諸般の事情で代理として務めることに……。
でも、もう一人はベテラン案内人の近藤弘子さんだから、大丈夫、大丈夫!(深呼吸)。 
では「冷汗講演録」始まります。

6月8日当日、私たち二人が会場へ入ると、10時10分開始のはずが10分前には学生(受講生)の皆さん(たぶん24名)全員おそろいでした。なんと意欲的な! 
事前に講座ご担当のかたから、平均年齢80歳と伺っていましたが、皆さんきりっとして何かピカピカしてお若い雰囲気。女性が多いようです。
開始は今か今かという感じなので、じゃ、このまま10:00から始めましょう、ということになりました。 えっ、もう?そういうものなの?(私、動揺…)

まず近藤さんが講演の概要を説明しました。さすが、堂々としたものです。
(実は緊張していたらしい)
さて、先攻は私めで、正味90分のうち、前半30分程度三浦綾子の略歴を話すことになっています。
今回の講演の中心は「綾子と海」(当文学館今年度企画展のタイトル)なんですが、三浦綾子をぜんぜん知らないと、興味を持ちにくいと思って、軽くおさらいすることにしたんです。
話術には自信がないから、パワーポイントで若かりし綾子さんの貴重写真を映し出して、配布プリントにも写真を載せ、視覚的にも興味を持ってもらうことにしました。

お話の始めに皆さんに伺ったところ、旭川っ子で世代も近いので、やはり『氷点』の朝日新聞一千万円懸賞小説当選についてはご存じだということです。
「じゃ、『氷点』をお読みになったかたは?」と尋ねると、ざざざっと手が挙がります。全員に近い。
すごい!ガイドをしてこんな経験は初めて。やっぱり郷土の作家だわ ♡ 心配無用だったんですね。
読書好きの方が多いようです。
前半は綾子さんの青春期における挫折と再生を中心にお話ししました。できるだけ具体的にと心掛けたところ、みなさんけっこう熱心に聞いてくださいました。
 
10分休憩をとってから、真打ち近藤さんの登場。まずは「綾子さんクイズ」タイムで息抜きを。
「大成小学校(綾子の出身小学校)を卒業した方は?」とか「啓明小学校出身(綾子赴任校)は?」「綾子さんと会ったことのある人?」などと挙手してもらうと、もう皆さんの表情が、先刻と打って変わってイキイキとしてきます。
「旧綾子さん宅のご近所に住んでいます」という方もいらして、次々と綾子さん関係のエピソードが。
私たちにとっても、この時間は一番楽しみにしていた時間でした。

いよいよ本題、「綾子と海」の話。
今年度の当文学館の企画展は「綾子と海」の関係を特集しております。
かいつまんで言いますと、三浦作品には海がたびたび登場します。しかも、重要な場面で。いったいなぜなんでしょうね、その理由を探ってみましょう、という内容です。

少しだけヒント。綾子は内陸の街旭川で生まれ育ち、小学校四年生まで海を見たことがありませんでした。そのため海への憧れが非常に強かったんです。旭川人、あるある、ですね。
企画展では「憧れと転機」「生と死の間(はざま)」「水平線の向こう」という三つの柱を立てて探っています。
この講演でも、それに沿って進め、『草のうた』『道ありき』などいくつか作品を紹介して、海の場面を取り上げてみました。

講座後半もパワーポイントで、地図やら関連作品の本の写真やら粗筋やらを映し出して、力を借りました。が、実はわれらが近藤さんには、そんなもの一切必要なかったのです。
語りはジョーク満載で会場笑いの連続。巧みな話術で会場を惹きつけていました。(私のジョークは、ほぼすべっていました) 近藤さんさすがです。
いやもちろん、作品の勘どころは押さえて、ですよ。案内人の私ですら初耳の話も聞けました。
バッチリ、出版本の宣伝も抜かりなく。 はい先輩、見習いまーす!

後半の話の後、予定では質疑の時間を設けるはずが、熱心に語りすぎて早くも11時40分。終了予定時間も迫っています。そこで最後に、学生のお一人から、綾子さんとお会いになった時のエピソードをお話していただきました。

こうして、大盛況のうちに(ホントか)、講演は終了しました。
直後になんと、学生代表の方から「謝辞」のお言葉までいただきました。こんな未熟な私たちに、ありがとうございました(冷汗)。
後でご担当の方から、講座のあいだ学生の皆さんの反応がとても良かった、もっと他の三浦作品も読んでみたいとおっしゃっていると、うかがいました。
光栄なことです。実は私たちの方こそ、楽しい時間を過ごさせていただいたんです。
綾子さんのことを市民のかたとおしゃべりできるのは本当に幸せなことです。私たちこそいい勉強になりました。
「冷汗講演録」、これで終わります。

みなさまも企画展「綾子と海」どうかよろしくお願いしまーす!

                             記:三浦文学案内人 山口眞由美

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