食前には、必ず菊が祈り、父の貞行と待子は指を組んで祈る姿勢になった。
その度に信夫は自分だけが除け者にされたようで、三人の祈る姿をじっと見すえるように眺めた。
その寂しさは、ともすると食事中も消えないことが多かった。
信夫はなかなか祈りに馴れることができなかった。
自分も祈ってみようと思うこともあったが、なぜか素直についていけなかった。
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