オノマトペで楽しむ三浦綾子(76)“そっ”

さ・ざ・しゃ・じゃ行

要するに、信夫にとっては、ヤソとは許すことのできない悪い者であった。
そのヤソに母がなっているときいて信夫はうす気味悪くなった。
やさしそうな声をして、何をしでかすかわからないような気がした。
おばあさまが、母のことを死んだと言ったのがわかるようにも思った。
死んだ母の方が、ヤソの母よりもいいに決まっていると、信夫はそっと母をみた。

三浦綾子 『塩狩峠』[母]75より


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