音読チャレンジ

は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(97)“ ぼつぼつ”

夕食の時になって、雨がぼつぼつ降りだしていたが、七時をすぎたころには、雨に風をまじえていた。「おかあさま、ぼくこれから学校に行ってもいい?」 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]144、145より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(96)“ そっ”

「そうかい。じゃ、ほんとうにおばけが出るかどうか、今夜八時にこの木の下に集まることにしないか」松井が言った。みんなおしだまってしまった。そっとどこかに行くふりをして離れた者もいた。 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]131、132より 〈著作物...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(95)“ ひそひそ”

もう汗ばむぐらい暑いことがあって、校庭の桜が満開だった。四年生になった信夫は級長になった。先生の仕事を手伝い、少しおくれて学校を出ると、一番大きな桜の木の下で、同級生が十人ほどかたまって何かひそひそと話し合っていた。信夫が近づくと、みんなは...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(94)“ はっ”

カードを手にとった信夫は、一目見てハッとした。それは今まで見たこともない、きれいな色刷りの絵だが、そこにえがかれているものは、むごたらしいものだった。両手両足を釘にうたれ、その脇腹から血を流している十字架の上のやせたキリストがいた。信夫はし...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(93)“ぼんやり”

菊と待子が出て行くと、貞行は火鉢に手をかざして本を読みはじめた。信夫は凧でもあげに外に出ようと思ったが、妙に気がのらない。仕方なく本を読んでいる貞行のそばでぼんやりとしていた。 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]66より 〈著作物の使用について...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(92)“じっ”

と、そのとき、恵理子は誰かの視線を感じた。ポプラから離れて、ふと対岸を見ると、タンポポの群れ咲く岸に腰をおろしてじっとこちらを見ている青年があった。十メートル離れたこちらからも、その眉は秀でて見えた。白いワイシャツの姿が清潔な印象を与えた。...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(91)“すらり”

イタリヤポプラの下までくると、恵理子はポプラの幹によりかかって、まだ真っ白い大雪山を眺めた。透明な青空の下に、大雪山の雪は新雪のように純白に見えた。街から帰ってくる時々、恵理子はこうして、そのすらりとした肢体をポプラの幹にもたせて、大雪山を...
や行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(90)“ゆっくり”

恵理子は土手の端の柔らかいよもぎをちぎって、形のいい鼻に近づける。よもぎの新鮮な、鋭い香りが恵理子は好きだ。恵理子はよもぎを手に持ったまま、ゆっくりと歩いて行く。 三浦綾子 『果て遠き丘』[春の日](一)8より 〈著作物の使用について〉三浦...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(89)“ひっそり”

が、恵理子の立つ、川一つ隔てたこの道には、いま、車はおろか、人影もない。川に向かって、小ぎれいな住宅の、赤や青の屋根屋根が、途切れ勝ちにひっそりと並んでいるばかりだ。川を境に、静と動の世界がある。それが恵理子の心を惹く。 三浦綾子 『果て遠...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(88)“はっ”“じっ”

夕食の時、信夫は箸をとろうとして、ハッとした。貞行も菊も待子も、じっと頭をたれている。菊が祈りはじめた。 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]48より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法...
た・だ・ちゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(87)“ぼんやり”“ちらり”

夕方になって父の貞行が帰ってきた。待子は、いつか道で会った時のように、大手をひろげて貞行の腰にまつわりついた。信夫は、おかえりなさいとあいさつすることも忘れて、ぼんやりとそれを眺めていた。貞行が、ちらりとその信夫をみて、肩をたたいた。 三浦...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(86)“びっくり”

菊にきかれて、信夫はだまって箸をつけた。きらいも好きもない。食べたことがないのだからと、信夫は箸の先にいらだたしいような思いをこめて、卵焼きをつついた。一口ほおばって、信夫はびっくりした。こんなおいしいものが、この世にあったのかとおどろいた...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(85)“ふっ”

信夫は両手を組んで、祈っている母と待子をだまってみつめていた。祈り終わると、待子が大きな声で、「アーメン」と言った。ふっと、信夫は淋しくなった。自分だけが除け者にされたような気がした。 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]33、34、35、36よ...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(84)“びっくり”

「いただきます」と箸をとった時、待子がびっくりしたように言った。「あら、おにいさん。お祈りをしないの」 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]27、28、29より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(83)“さっさ”

しかし信夫は何となく恥ずかしくなって、「うん」と言ったまま、さっさと家の中にかけこんでしまった。 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]18、19、20より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(82)“ふっくら”

「おにいさん。待子、知らなかったの。ねえ、待子、あねさま人形を持っているの。遊びましょうよ」と信夫の手をひっぱった。そのふっくらとした小さな手の感触が、妙にくすぐったくこころよかった。 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]17、18より 〈著作物...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(81)“ぺこん”

「あら、信夫さん。おかえりなさい」菊が玄関から姿をあらわした。信夫は何となくあかくなって、ぺこんとおじぎをした。 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]11、12より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営す...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(80)“きりっ”“まじまじ”

「あら、ここはわたしの家よ」信夫をみて立ち上がった待子は、両手をひろげて通せんぼをした。口をきりっとしめて通せんぼをしている待子の顔を、信夫はまじまじとみた。 三浦綾子 『塩狩峠』[桜の下]2、3、4より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(79)“すやすや”

寝室に引きとった貞行も菊も、すやすやと眠る信夫の顔をだまってのぞきこんだ。 三浦綾子 『塩狩峠』[母]145より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三浦綾子記念文化財団」が所有・...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(78)“きっぱり”

「菊。去っていただきましょう」トセのきっぱりとした言葉に、菊は青ざめた。 三浦綾子 『塩狩峠』[母]120、121より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三浦綾子記念文化財団」が...
わ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(77)“わあっ”

「よう、来たな。きょうはひとつおもしろい話をしてやろう」男がいうと、子供たちは急に浮き足だって、わあっと逃げた。 三浦綾子 『塩狩峠』[母]83より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(76)“そっ”

要するに、信夫にとっては、ヤソとは許すことのできない悪い者であった。そのヤソに母がなっているときいて信夫はうす気味悪くなった。やさしそうな声をして、何をしでかすかわからないような気がした。おばあさまが、母のことを死んだと言ったのがわかるよう...
わ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(74)“わっ”

「大人なんてうそつきだ。ぼくにうそをいうななんて教えて……。おばあさまも、おとうさまも、こんな大うそをついていた」信夫は、わっと泣き声を上げた。 三浦綾子 『塩狩峠』[母]47、48より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(75)“そっ”

「おかあさまが至らなかったからです。おばあさまのせいではありませんよ」母が、信夫の涙をそっと拭ってくれた。 三浦綾子 『塩狩峠』[母]66、67より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(73)“じっ”“そっくり”

「死んだのではない。よく顔を見てごらん。お前とそっくりではないか」貞行の言葉に、信夫は再びじっと女の人を見た。言われてみれば、たしかに似ている。そして、自分の顔を鏡にうつして、心ひそかに想像していた母よりも、ずっと美しかった。 三浦綾子 『...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(72)“じっ”

「おかあさまだって?」ランプの光に、やや青白く見える女を信夫は、じっと見た。 三浦綾子 『塩狩峠』[母]22、23より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三浦綾子記念文化財団」が...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(71)“すらり”

父が夜おそく客をつれてくることはない。梶棒がおろされ、前のほろが外されると、お高祖頭巾の女がすらりと降りたった。月の光を受けて、その女のぬれたような目が美しかった。車が去ると女は信夫の肩をかきいだいた。 三浦綾子 『塩狩峠』[母]7より 〈...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(70)“ずしり”

「……この、親不孝者!」と大声をはりあげた。その瞬間、トセの体がのめるように、ずしりと音をたてて、たたみに倒れた。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]173、174より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(69)“ぶるぶる”

「お怒りは、ごもっともですが、そんなにお怒りになっては、お体にさわります」貞行の声は落ちついていた。それがトセの激怒を買った。トセの体がぶるぶるとふるえた。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]165、166より 〈著作物の使用について〉三浦綾子...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(68)“がっくり”

「申し訳もございません」貞行が、がっくりと両手をついた。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]161、162より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三浦綾子記念文化財団」が所有・管理し...