学校向け

わ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(77)“わあっ”

「よう、来たな。きょうはひとつおもしろい話をしてやろう」男がいうと、子供たちは急に浮き足だって、わあっと逃げた。 三浦綾子 『塩狩峠』[母]83より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(76)“そっ”

要するに、信夫にとっては、ヤソとは許すことのできない悪い者であった。そのヤソに母がなっているときいて信夫はうす気味悪くなった。やさしそうな声をして、何をしでかすかわからないような気がした。おばあさまが、母のことを死んだと言ったのがわかるよう...
わ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(74)“わっ”

「大人なんてうそつきだ。ぼくにうそをいうななんて教えて……。おばあさまも、おとうさまも、こんな大うそをついていた」信夫は、わっと泣き声を上げた。 三浦綾子 『塩狩峠』[母]47、48より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(75)“そっ”

「おかあさまが至らなかったからです。おばあさまのせいではありませんよ」母が、信夫の涙をそっと拭ってくれた。 三浦綾子 『塩狩峠』[母]66、67より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(73)“じっ”“そっくり”

「死んだのではない。よく顔を見てごらん。お前とそっくりではないか」貞行の言葉に、信夫は再びじっと女の人を見た。言われてみれば、たしかに似ている。そして、自分の顔を鏡にうつして、心ひそかに想像していた母よりも、ずっと美しかった。 三浦綾子 『...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(72)“じっ”

「おかあさまだって?」ランプの光に、やや青白く見える女を信夫は、じっと見た。 三浦綾子 『塩狩峠』[母]22、23より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三浦綾子記念文化財団」が...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(71)“すらり”

父が夜おそく客をつれてくることはない。梶棒がおろされ、前のほろが外されると、お高祖頭巾の女がすらりと降りたった。月の光を受けて、その女のぬれたような目が美しかった。車が去ると女は信夫の肩をかきいだいた。 三浦綾子 『塩狩峠』[母]7より 〈...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(70)“ずしり”

「……この、親不孝者!」と大声をはりあげた。その瞬間、トセの体がのめるように、ずしりと音をたてて、たたみに倒れた。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]173、174より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(69)“ぶるぶる”

「お怒りは、ごもっともですが、そんなにお怒りになっては、お体にさわります」貞行の声は落ちついていた。それがトセの激怒を買った。トセの体がぶるぶるとふるえた。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]165、166より 〈著作物の使用について〉三浦綾子...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(68)“がっくり”

「申し訳もございません」貞行が、がっくりと両手をついた。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]161、162より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三浦綾子記念文化財団」が所有・管理し...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(67)“そっ”

「え、何ですって。信夫! 一体それはどこでですか」はげしい見幕であった。子供心に信夫は自分でいってならないことをいってしまったことに気がついた。そっと父の顔をうかがうと、貞行は膝を正してうつむいている。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]151...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(66)“さっ”

「そう、それからどんな人がいました?」「ええと、よくわからない。あんまりたくさんいるんだもの。あ、そうそう、へんな女の子に会ったけれど……」貞行の顔色がさっと変わったことに、信夫もトセも気づかない。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]144、1...
た・だ・ちゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(65)“とんとん”

「まあ、そんなにたくさんの人出でしたか。それでは知った人も行っていたでしょうね」トセは急に肩がこったように、自分の肩をトントンと叩いてみせた。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]138、139より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(64)“すーっ”

「ああ、すーっとした。おいしいね、おとうさま」よしず張りの茶屋にはいって、信夫はラ厶ネをはじめて飲んだ。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]109、110より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「...
わ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(63)“わくわく”

団子坂の上までくると、もう信夫の胸はわくわくしていた。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]100より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法人三浦綾子記念文化財団」が所有・管理しております...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(62)“くるり”

「さあ、行きなさい。おかあさまが待っているよ」貞行に肩をおされて、女の子はしぶしぶと歩きだしたが、二、三歩いってふり返った。そして信夫をにらみつけるように、みつめたかと思うと、くるりと向き直ってかけていった。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(61)“ぱっ”

その時、横の小路から五、六歳の色白の女の子がかけてきた。(かわいい女の子だな)と、信夫が思ったとき、その子が貞行をみて、パッと顔を輝かせた。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]57、58、59より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(60)“ぐっ”“しゅー”

(おばあさまはラ厶ネはおなかに悪いといっていたけれど……)しかし、一度でいいから、あの玉をぐっと指で押しこんで、シューと泡の吹きあがるラムネを飲んでみたいと、信夫はいくど思ったことだろう。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]52、53より 〈著...
た・だ・ちゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(59)“ちらり”

「何ですか。そんなにあわてて、士族の子が見ぐるしい」トセの声に信夫はちらりと父をみて、「おばあさま、行ってまいります」と、大声であいさつをした。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]36、37、38、39より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(58)“ぽん”

「これは、これは」貞行は苦笑して、キセルの灰をぽんと落とした。「どうだ、信夫。おとうさまと菊人形を見に行こうか」貞行はそういって立ちあがった。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]30、31、32、33より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦...
ま・みゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(57)“むっつり”

「何ですね、信夫、その口のききようは。ほかの学年の先生が退めていかれたって、信夫と何の関係がありますか」トセが、縫う手をとめて、たしなめた。(関係だか何だかわからないが、やめて行ったらいやなんだ)信夫はむっつりとトセをみた。 三浦綾子 『塩...
な行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(56)“にっこり”

根本先生に、どこにも行かないで自分のお嫁さんになってほしいと頼んだ一年生の時のことを信夫は忘れていた。しかし、先生の退職はやはり淋しかった。廊下で会うと、にっこり笑って礼を返してくれる先生が、もういなくなってしまっては困るのだ。 三浦綾子 ...
さ・ざ・しゃ・じゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(55)“じっ”

縁側でキセルをくわえながら、貞行はしばらくじっと雲をながめていたが、ふと視線をかたわらの信夫にうつした。信夫は描いたような黒い眉を八の字によせて、何か考えている。 三浦綾子 『塩狩峠』[菊人形]2より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦...
あ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(54)“ぴたり”“おろおろ”

そう言うや否や、貞行はピタリと両手をついて、おろおろしている六さんと虎雄に向かって深く頭を垂れた。そして、そのまま顔を上げることもしなかった。その父の姿は信夫の胸に深くきざまれて、一生忘れることができなかった。 三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]1...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(53)“きりり”

士族はえらいと当然のように思ってきた信夫である。それは雪は白い、火は熱いということと同じように、信夫には当然のことであった。(ほんとうに人間はみんな同じなのだろうか)信夫は唇をきりりとかみしめて枕に顔をふせていた。 三浦綾子 『塩狩峠』[鏡...
ま・みゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(52)“むすっ”

信夫はむすっと唇をかんだ。「信夫。士族の子と町人の子とどこがちがうというのだ? 言ってみなさい」(ほんとうだ。どこがちがうのだろう)言われてみると、どこがちがうのか信夫にはわからない。 三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]173、174、175、17...
は・ば・ぱ・ひゃ・びゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(51)“ひりひり”

「信夫! 虎雄君の指は何本ある?」「五本です」殴られたほおがまだひりひりと痛んだ。「では、信夫の指は何本か? 六本あるとでもいうのか」 三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]169、170、171、172より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世...
あ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(50)“おどおど”

「虎雄君。君の手を見せてほしい」貞行は虎雄に微笑を見せた。虎雄はおどおどと汚れた小さな手を出した。 三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]167、168より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は、三浦綾子記念文学館を運営する「公益財団法...
か・が・きゃ・ぎゃ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(49)“きりり”

「信夫っ! もう一度今の言葉を言ってみなさい」凜とした貞行の声に信夫は一瞬ためらったが、そのきりりときかん気に結ばれた唇がはっきりと開いた。 三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]160、161より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権は...
あ行

オノマトペで楽しむ三浦綾子(48)“さっ”“うろうろ”

「そうです。ぼく町人の子なんかに屋根から落とされたりするものですか」信夫の言葉に貞行の顔色がさっと変わった。六さんはうろうろとして貞行を見た。 三浦綾子 『塩狩峠』[鏡]158、159より 〈著作物の使用について〉三浦綾子・三浦光世の著作権...